生きる東京千秋楽 あたまのマッサージ

世界的に知られている黒澤明監督の映画「生きる」が、2018年にミュージカルとなり初演されました。日本発のミュージカルとして、マイルストーンとなるような作品と言って良いと思いますが、今年、再演にあたりオケのメンバーとしてお声がけいただきました。自分はミュージカルに参加すること自体かなり久しぶりでもあったのでとても楽しみにしていましたが今年はコロナの影響で殆どの舞台は中止となっているような状態だったので、この舞台もどうなることかとずっと心配していました。

多くの方々のおかげで様々な感染対策が施され、特別な緊張感の中で稽古をして、無事に初日を終えた時にはカーテンコールで多くのキャストの方々が目に涙を浮かべているのがピットから見えました。コロナ騒動で舞台公演が出来なくなって以降、ここにたどり着くまで多くの困難を乗り越えてようやく自分たちが生きる場所に戻ってくることが出来た、そんな気持ちだったんじゃないかと思います。自分も自粛期間後初めて人前で演奏した時のことを改めて思い出したりしたのでした。

その後もずっと特別な緊張感の中公演を続けてきて、昨日、無事に千秋楽を迎えることができました。こんな状況の中ここまで大きな舞台を成功させるのに関わることが出来た事は本当に一生忘れられない経験となりました。11月は地方公演が続くのでまだまだ気は抜けませんが、ひとまず大きな区切りを無事に迎えることができて今はほっとしています。地方公演では富山、兵庫、久留米、名古屋と回りますので、もしお時間ある方は是非。まさに今この時期、時代にこそ観ていただきたいです。地方あちこち行くのは久しぶりなので、色んな町の空気をほどほどに楽しみつつ、引き続き頑張りたいと思います。

さて、昨日は千秋楽を終えた後そのまま横浜に向かい、上町63で蜂谷真紀さん、橋爪亮督さんと演奏しました。ミュージカルで同じ譜面を演奏する日々が続いていたので、脳がそういうモードになっていて、演奏始めて最初は、同じ楽器を弾いているとは思えないような感覚がありました。徐々に慣れてくると今度はシンプルなベースラインを弾くことがものすごく新鮮で楽しくなってきて、これは面白いもんだなーと思いました。頭の使い方があまりにも違うので、こう、なんだか脳が強制的に解されていくような感覚というか。譜面通り弾く時間が長かったからこそそこから解放されて演奏することの自由さを改めて感じたのでした。今月の前半にも喜多さんと元井さんとで完全即興の演奏したんですが、その時はまだ公演始まってからそれほどたってなかったので、楽しかったけど昨日ほどの違和感はなかった気がします。きっと1ヶ月近くの時間をかけて頭の中がだんだん変わり続けていったんでしょうね。それが昨日一気に解されたと。人間の脳って面白いですね。

最終的には、同じ譜面を毎回初めて演奏するような新鮮さで演奏したり、あたかも作曲されていたかのように必然的な即興演奏をできたらいいよなぁ。いつでも新鮮。自由になるってきっとそういうことなんだろうなぁ。

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